サックバーイーは答えました。
「私はどんな行いをしているときにも、いつも神の御名を唱えています。だから、私が作る牛糞の塊は、私の唱える御名の特性を帯びているのです」
サックバーイーは、家に走っていって自分の作った牛糞の塊を持ってくると、ナーマデーヴァの耳元に近づけました。その牛糞の塊は、「ランガ(二七)! ランガ! パーンドゥランガ!」と、神の御名を唱えていました。ナーマデーヴァは牛糞の塊から絶え間なくそうした御名が聞こえてくるのを耳にしたのです。
果たしてこれは本当なのだろうかと、ナーマデーヴァは訝(いぶか)りました。当時の偉人たちでさえ、この種の疑いをもっていたのです。サックバーイーはもう一つ牛糞の塊を作るようにと言われ、いくらかの牛糞を持ってきて、「ランガ! ランガ! パーンドゥランガ!」と唱えながら塊にしました。ナーマデーヴァはその塊を耳に近づけて試してみました。またしてもナーマデーヴァは、牛糞の塊から「ランガ! ランガ! パーンドゥランガ!」という言葉が聞こえてくるのを耳にしました。ナーマデーヴァは、言葉のもつ御名の力はあらゆる推測を越えていることを実感しました。人の想念は、本人の体がなくなっても、さらにずっと残るのです。
書籍「ナーマスマラナ:神の名前の不思議な力」P.96