シャーストラの引用句に、このカリ・ユガにおいては、神の御名を歌うことによって、死を免れない惨めな生存という束縛からの解脱(モークシャ)を得ることができる、というものがあります。
実に、この時代ではナーマスマラナこそが人生の問題を解決する唯一の方法なのです。
その方法は、クリタ・ユガでは瞑想(ディヤーナ)であり、トレーター・ユガではヤグニャ〔供犠〕であり、ドワーパラ・ユガでは礼拝(アルチャナ)でした。
今のカリ・ユガでは、人の中で激性(ラジャス)の活動が優位に立っているために、瞑想やヤグニャや礼拝に従事することは不可能です。
それゆえ、迷妄という海を渡る最高の手段はナーマスマラナであると宣言されているのです。
カリの時代に瞑想やヤグニャや礼拝といった他の霊性修行によって成果を得られるのは、それらの霊性修行に、神の御名とその愛の甘さを併合した場合に限られます。
書籍「ナーマスマラナ:神の名前の不思議な力」 P.22 より